第5回 年金プロダクト需給調査
カテゴリ:オルイン
種別:一部公開
国内企業年基金および、国内で事業展開する資産運用会社を対象に調査を実施しました。
当調査は、確定給付型企業年金を中心とするアセットオーナーと、資産運用会社へのアンケートを通じて、国内企業年金の資産運用の実態および、企業年金が採用する投資戦略(プロダクト)に対する需要サイド(企業年金)と供給サイド(資産運用会社)の動向を調査することで、企業年金を取り巻く課題と運用の方向性を捉えることを目的としています。
概要
[実施主体]機関投資家向け運用情報誌『オルイン』 (発行:株式会社想研)
[実施時期]2022年5月9日(月)~6月3日(金)
[調査対象]国内企業年基金および、国内で事業展開する資産運用会社
[調査方法]WEBアンケート
[回答数]国内企業年金基金129件、資産運用会社41社
サマリー
- 2021年度は第4四半期に大きな下落が発生したものの、年度では2%台~3%台を中心に多くの基金がプラスリターンで終えた。
- 政策アセットミックス上、国内債券の採用率は高いものの、平均配分比率は3割を割り込んだ。一方、マルチアセット戦略を採用する基金が増加している。
- 年金運用上の課題としては、「足もとの金利上昇」「長期的な低金利」「ダウンサイドリスク」への対策が上位に挙がる。
- 債券・クレジット系プロダクトでは国内債券の減額予定が多いほか、金利上昇、為替ヘッジコストが影響してヘッジ外債の投資ニーズが減衰している。一方、アクティブ運用や債券アンコンストレインド運用については根強いニーズも確認できる。
- ESG株式戦略は企業年金にもかなり普及しており、今後も拡大傾向が続くとみられる。
- オルタナティブ投資ではマルチアセット戦略と時価変動が少ないプライベートアセットに対する投資ニーズが強い。また、ボラタイルな市場環境を反映してか、ヘッジファンドのニーズも拡大している。
- 相次ぐ生保一般勘定の予定利率引下げに対して、全体の16.3%が今後の減額・解約を予定している。また、採用中企業年金の59.4%では現在何らかの対策が進んでいる。
- 生保一般勘定を代替する選択肢としては、生保が提供する代替戦略、マルチアセット戦略、債券アンコンストレインド戦略、不動産・インフラのデット戦略などが検討されている。
- 過半数の企業年金でプライベートアセットが採用されている。また、従来中心を占めていた「コア型オープンエンドファンド」から投資の裾野が広がりつつある
- 資産運用環境が厳しさを増す中で、多くの企業年金が①運用会社の投資判断やアクティブ運用スキル、②分散効果の高いオルタナティブ投資などを用いることで、ポートフォリオの堅牢性を高めている。また、大手生保で相次ぐ一般勘定の予定利率引下げの動きは企業年金の運用にも少なからず変化をもたらしており、代替戦略としてもアクティブ運用やオルタナティブ投資の存在感が高まっている。